第14幕:出発
四国の夜は、東京の夜と比べると凡そ30分ほど遅く訪れる。それは、昨日空を見たドクオたちが身をもって
実感したことだ。旅先や引越し先で何かしら妙な違和感を抱くのは、往々にして方角や時間帯が掴めないことに
因る、独特の気持ち悪さにあるとも考えられる。
日本にばかり留まっていると、さぞ日本は狭いと思いがちであるが、これは正鵠を射ていない。
例えば、四国から関東へ、関東から四国へちょっと移動したときに見られる星空の違いがあったりする。
昨日まで見ていた星空が妙に明るく、或いは暗く見えたり、昨日まで見ていた星座の方角が掴めなかったり、
いざ掴んだとしても、もうとっくに目当ての星座は山に沈んでしまっていた、なんて事がある。
大袈裟に書いたかの用に思われるやも知れないが、これは決して誇張ではない。
夜は、それを『見る』者の神経を研ぎ澄ませるものだから、小さな変化でも人の心を驚かす。その変化は
昼間にも当然に起こっていることであるが、妙な物言いをするけれども、太陽が眩い光を放って我々の眼に
映りそうな星という星を全て包み隠してしまっているものだから、我々にはそんなことに気づかない。
そんな昼間も、いつかは終わって、また夜が来る。その繰り返しだ。
まあ、何が言いたいのかと言うと、人々の気を変にする夜にも、どんな言葉をもってしても『夜』の意を
持つものならば、世界中の夜にも朝が訪れると言うことである。
その日も、朝は、東京に訪れたあと駆け足で西へ西へと向かい、高松を通り過ぎた。時間にして約30分。
夜の訪れと同じ時間差である。
およそ午前4時、高松の東の空が白み始め、建物の壁と言う壁が曙光で照らされる。
5時ごろにもなると、まだまだ低い空に留まっているものの、太陽はその円い姿を見せていた。
橙色の曙光が、ふたりが宿泊している旅館の一室にも忍び込んでいる。
もうすぐ5時だ。
部屋はしんとしており、ふたりの軽い寝息のほかは壁掛け時計の秒針の音ぐらいしか聞こえてくるものはない
くかー。
ちっ。
ちっ。
すぅー。
ちっ。
かちっ。
プルルルルルルル! プルルルルルルル!
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!
突然の喧騒。
('A`;)「んん……むにゃ。何だぁ?」
(^ω^ ; )「――おっおっ? 何だか、いつもの朝よりうるさいお?」
それもその筈だ。何しろ、早朝で頭が呆としているのに、備え付けの電話と携帯の目覚まし時計とが、
タッグを組んで力強く朝の5時を告げているのだ。
プルルルルルルル! プルルルルルルル!
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!
('A`;)「えーい、うるさい。おい、ブーン!!」
(^ω^; )「なんだお!? 聞こえないからもうちょっと大きな声で話してくれお!!」
プルルルルルルル! プルルルルルルル!
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!
部屋の中は相当やかましい。ましてや、ふたりは起き掛けなのだから、思うように大声を張り上げることが
できないので、声が掻き消されてしまう。ふたりは、文字どおり身振り手振りで会話した。
('A`;)ヾノ (受話器は俺が取るから、お前は自分の携帯を止めてくれ)
d(^ω^ ; ) (わかったお)
どうやら、通じたようだ。ブーンは布団の中からのそのそと這い出すと、騒音を撒き散らしている携帯を
止める。
まず、部屋から(合成だが)金属音が消えた。
プルルルルルルル! プルルルルルルル!
('A`)「おk、今出るから待ってなよ……」
畳敷きの部屋を這いずり、固定電話が置かれている床の間にたどり着くと、受話器を取る。
その短い動作で、部屋の中の喧騒は失せた。
('A`)「はい、もしもし」
从'ー'从「もしもーし、お早うございます。こちらフロントの渡辺です。良く眠れましたか?」
('A`)「ああ、お早うございます。お陰さまで」
从'ー'从「えと、朝食まであと30分なので、起きてくださーい。それまでに支度をお願いします」
('A`)「はい、わかりました」
かちゃり。
('A`)「渡辺さんだったよ。いつの間にモーニングコール頼んだんだ?」
振り向きざま、ブーンに向かってそう伝える。
( ^ω^)「――僕は頼んだ覚えは無いお? それに、昨夜、朝食の時間について話をした気がするけど、
5時ピッタリに起きるとは渡辺さんには言ってないお?」
('A`)「まあ、気が回るっちゃあ回るんだから、有り難いじゃないか。きっと、時計の秒針と
睨めっこしながら電話のタイミングを見計らっていたんだぜ」
(^ω^; )「――いつか、気が回りすぎて思いっきり空回りしそうだお」
('A`;)「まあ、出発の朝だ。細かいことは気にせず支度しようぜ」
( ^ω^)「わかったおー」
そうして、ふたりは浴衣を脱いで、クリーニングされたスーツに袖を通したり、きのう
ひとまず買った名古屋までの切符を用意したりと、旅の最終的な支度を始めた。
その頃。
从'ー'从「へ……へ…………へっくち!!」
フロントでは、受話器を置いた途端に渡辺さんが大きなくしゃみをしていた。
从'ー'从「う〜ん、誰かが私の噂でもしてるのかなぁ〜」
ごしごしと鼻頭を擦りながら、渡辺さんは食堂へと消えていった。
30分後。
すっかり旅支度を済ませたドクオとブーンが食堂へと降りてきた。食堂と言っても、
朝が早いために他の宿泊客の姿は見えない。テーブルの上には茶碗が伏せた状態で置かれており、
それが凡そ20席に並べられている。
ふたりが来た頃に食堂に認められる影は、渡辺さんの物だけである。
从'ー'从「あ、お早うございます〜。いまご飯を用意しますから、お好きな席にどうぞ」
( ^ω^)「どうも、ですお。じゃあ、テレビが良く見える、この席しますお」
('A`)「じゃあ俺も」
食堂には、全席から見えるような位置にテレビが天井に取り付けられている。
ふたりは、テレビに近すぎず遠すぎない席を選び、テーブルを挟んで向かい合うようにして席に掛けた。
そのタイミングを見計らうようにして、渡辺さんが膳を運んできた。まあ、昨日の朝食と同じスタイルである。
从'ー'从「では、ごゆっくり〜」
ぺこりと頭を下げ、渡辺さんが奥に消えてゆく。
('A`)「さて、頂くとするか」
( ^ω^)「頂きマスの寿司!!」
それからふたりは、普段どおりテレビを見ながら朝食を取った。
ながら食いをするとは言え、ただ単にテレビを眺める訳ではない。
地方のテレビ局の殆んどは、在来線の運行状況を朝のニュースで流す。それを見越して、
ふたりはテレビに近い座席を選んだのだ。幸いにも、台風の爪跡は大したことがなく、
在来線だけでなく新幹線も平常どおり運行しているとのことだ。
天気予報を見ると、四国の周辺各地は概ね晴れ。
視界は良好だ。
昨日までふたりの胸中に重たくのしかかっていたvip峡への不安は、少しばかり軽くなった。
( ^ω^)「こりゃまさに、今回の旅行に……パクッ、打ってつけの天気だお」
('A`)「まあ、そうだわな……モグモグ」
テレビを逐一見ているとは言え、とてもゆっくりとした調子で食べている。ご飯の量に比べて、おかずの量が
(殆んどの旅館ではそうだろうが)多いので、仕方ないと言えば仕方ない。ご飯無しで食べる佃煮や焼き魚ほど
侘しい物はこの世には存在しない。多分。
まあ、ゆっくり食べるのは悪くないことなのだが。
「お早うございます。午前6時になりました。ニュースをお送り致します」
画面が見慣れない地方局から、普段よく見る全国局に切り替わり、6時が到来したことが告げられる。
('A`;)「げっ!」
煤i^ω^; )「おっ!」
一瞬、ふたりの箸が止まる。
('A`;)「駅までには、確か6時半までに着いている方がいいんだよな?」
(^ω^; )「たしか、その筈だお」
('A`)「仕方ない。kskするぞ」
( ^ω^)b「把握したお」
('A`)「――と言っても、お前の方が結構残っているのじゃないか?」
( ^ω^)「朝食は味わって食べるのが僕のポリシーだお。でも、非常事態にはkskも止むを得ないお。
……と、言うわけで…………」
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゚ 。 \ヽ / u ⌒'ヽ゛ u / ゚
- ・。 / ; ゚(●) u⌒ヽ i @ 。
, ゚ 0 ─ { U u r-(、_, )(●) .| / 。 ,'´ ̄ ̄`',
゚ ,,、,r-'⌒l u //トェェェ、 ) 。゚ / o ,! ハ ハ !
。 ゚ r-'⌒`ー-'´ヾ,. ir- r 、//u / 。 ・゚ l フ ム l
ヾヽ、_,,,、-、/ミ,ヽヽ/ ノ_, -イ-、\ ∠ ハ ッ j
ー = ^〜、 ̄r'´ ̄`''jヽ、 〃ヾ ゚ 。 ヽ フ /
jヽjvi、人ノl__ / / ヽ´{ミ,_  ̄`'''-ヽヾ ` ̄ ̄
) ハ 7 / / `'='´l  ̄i'-、_,,ン ノ 。
) フ て / / !。 l l - ニ
7 ッ ( __ヽ、__l ___ .!。 l__l__,-=-,___
) !! ( ,-=-, ∠ヾゞゝヽ ,-≡-,l l-=二=-,
^⌒~^⌒^~⌒^└==┘  ̄ ̄ ̄ ヽ==ノヽ=ノ\__/
('A`;)「おいおい、幾らなんでもkskし過ぎじゃないか? それに、AAがダディになってるぞ?
携帯の人ちゃんと見れるのか?」
(♯゚ω゚)「細かいことはスルーだお!! まだまだkskするお!!」
30 名前: 空軍(石川県)[] 投稿日:2007/04/09(月) 23:27:01.60 ID:Ll5q7yXi0
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('A`;)「まだまだkskするったって、同じAAじゃ実感湧かないぞ? それに、あまりkskし過ぎると……」
(♯゚ω゚)「五月蝿いお!! 作者にはそんな技術は全く無いんだお!! そんなこと要求して…………」
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ヽ、_,,,、-、/ミ,ヽ `''ー- イ-、
^〜、 ̄r'´ ̄`''jヽ、 〃ヾ
/ ヽ´{ミ,_  ̄`'''-ヽ
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('A`;)「言わんこっちゃない!! おい、早く水飲め水!!」
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( ゚ω゚)「――――――――」
('A`;)「渡辺さーん!! ピッチャーで水を下さい!! って言うか、助けてください!!」
从'ー';从「ええーっ!? 何があったんですか?」
――手ぶらのままで、奥から渡辺さんが飛んできた。
――しばらくして。
从'ー'从「大丈夫ですかぁ〜?」
( ´ω`)「死ぬかと思ったお……ゲホゲホ」
正気を取り戻したブーンが机の上で噎せている。その傍で渡辺さんが、背中を優しく擦っていた。
('A`)「当たり前だ。あんなにkskすりゃ、喉に詰まるのは流れからしてカンタンに分かるだろうに
(くそ、ちょっとその場所代わってくれよ……)」
( ´ω`)「分かったお。あと少しで食べ終わるから、もうちょっと待っててくれお……」
いそいそと箸を進めるブーン。向かいのドクオは、もう間食していた。
('A`)「――なまじ、kskしない方が良かったんじゃないか? もう6時10分だぜ?」
( ´ω`)「まあ、時間の余裕は多目に取ってあるはずだから、そんなに心配しないほうがいいお……」
言い終わる頃には、もうブーンも食べ終えていた。
( ^ω^)「ご馳走様ですお!!」
('A`)「ご馳走様」
从'ー'从「はい、どうも有り難うございました〜。えっと、高松駅に向かう各駅停車は、近くの駅からは
30分に発車します。歩いて10分ぐらいですので、列車を使うのならちょっと急いだ方がいいですよ〜」
('A`)「わかりました。じゃ、ブーン、急いで部屋に戻るぞ」
(^ω^; )「食べた直後の運動は消化に悪いお……」
('A`)「たかだか駆け足で部屋に戻ることぐらい、何が運動だ。置いてくぞ」
と、ドクオが駆け出す。
(^ω^; )「待ってくれお〜」
それにやや遅れる形で、ブーンが続いた。
部屋にて。
('A`)「じゃ、最終チェックだ。歯磨きはしたな?」
( ^ω^)「どうせ車内でつまみ食いするお」
('A`)「――、財布は? 切符は? 携帯は?」
( ^ω^)「ソレについては、おkだお」
('A`)「部屋に忘れ物は無いな?」
( ^ω^)「見た感じ、元通りの部屋だお」
('A`)「じゃあ、鍵を持って、出発だ」
( ^ω^)ゞ「おいすー」
( ^ω^)「vip峡へレッツゴーだお!!」
障子戸を閉めて、スーツ姿に旅行鞄を持ったふたりが1階のフロントに降りてくる。
それを見たフロントの渡辺さんは、いつものようにぺこりと頭を下げた。
从'ー'从「有り難うございました。チェックアウトですね? 忘れ物は無いですか?」
('A`)「見た感じ、無いですね。はい、部屋のカギ」
从'ー'从「はい、どうもー。では、ふたりが2泊で食事代を一回分差し引いて……、4万5千円ですね〜」
――一瞬の沈黙。
('A`)「? ブーン、サイフ係りはお前だろ」
(^ω^; )「わかってるお。でも……」
('A`)「でも? どした?」
(^ω^; )「――およそ1泊分の宿泊費、3万円しか財布に無いお!!」
(#'A`)「オイコラ!! これからvip峡へ行くのに、費用が足り無くてどうする!!」
(^ω^; )「そんなこと言われても、無いものは無いお……」
从'ー'从「――大丈夫ですかぁ?」
('A`)「しょうがないなぁ……。じゃあ、俺の財布から出しといてやるよ。ひとまず、発車までの
時間があったら、高松駅でATM探すことになるかな、こりゃ」
( ^ω^)「おっおっ、恩に着るお!!」
('A`)「じゃ、1万5千円の借りな」
そう言ってブーンから3万円を引ったくると、渡辺さんに出す。
从'ー'从「はい、確かに頂きましたー。じゃあ、これが領収書です。お確かめください。では、お気をつけて」
('A`)「どうも。さあ、行くぞブー……」
( ^ω^)「ちょっと待ってくれお!!」
('A`)「ん? どうした? 何か言い残したことでもあるのか?」
(^ω^; )「トイレに行かせてくれお……」
言い終わるや否や、ブーンはトイレの方に駆け出していた。
(#'A`)「早く済ませて来い!! 列車はあと10分で出るんだぞ!!」
猛ダッシュを効かせるブーンの肩越しに、ドクオの怒号が聞こえてきた。
第14幕:出発 了
51 名前: 空軍(石川県)[] 投稿日:2007/04/09(月) 23:48:52.86 ID:Ll5q7yXi0
はい。第14幕の投下は、これにて終了です。
酔った勢いで書いた部分もあるので、ダディが出てまいりました。
やっぱ、酒の力は凄いです。
第15幕はkskして書いていきたいと思います。
〜〜φ(・ω・´)
支援有り難うございました。
投下は終わりますが、質問などは受け付けます。
第12・13幕うpしましょうか?
60 名前: 美人秘書(石川県)[] 投稿日:2007/04/10(火) 00:15:34.90 ID:z4eocVif0
果てしなく久し振りな幕間
日付が変わった頃の、とある部屋の一室である。
ノートパソコンを目の前にして、ひとりの男が座っていた。
(´・ω・)φ「ふう……」
手にはペンを持っているように見えるが、実際はキーボードを叩いている。
(´・ω・)φ「この作品も、作品に肉付けをしていくうちに、とうとう15幕を超えてしまったか……」
部屋には彼ひとり。傍から見たら、パソコンに語りかけているみたいだ。
61 名前: 美人秘書(石川県)[] 投稿日:2007/04/10(火) 00:17:34.18 ID:z4eocVif0
(´・ω・)φ「ああ、第1幕を投下した頃は、こんな事態になるとは、誰が考えただろう……。
最初は、完全にふざけ半分の無名作家のつもりだったけどなぁ……」
はあ、と、溜め息が彼の口から漏れる。
(´・ω・)「投下が遅くて不定期なのが本当に申し訳ない。そのせいか、まとめサイトも最近滞っているし……。
本当に、何て言ったら良いやら……」
パソコンチェアが、ぎい、と軋む。
(´・ω・)「――――でも、」
(´・ω・)「でも、昨日お酒(焼酎だけど)を飲んだときのあの感触、ソレを忘れないようにすれば、
今より早く投下できるんじゃないかな? 読み手の方を考えるなら、自分がkskして書くのが一番だ」
62 名前: 美人秘書(石川県)[] 投稿日:2007/04/10(火) 00:18:07.18 ID:z4eocVif0
しばし、沈黙が流れる。
パソコンの駆動音しか聞こえない。
(´・ω・)「よし、ちょっと気分転換に、シャワー浴びるか。そしたら、ストップウォッチ使って
kskして書いてみよう。プロットに沿えば、間違いは無い筈さ、多分。昨日感じた、あの感触を
思い出して……」
また、パソコンチェアが軋む音。
暫らくして、風呂場から水音が聞こえてきた。
「熱ぃーーーー!!!!!!1!!!!1!1!!1!!!111」
果てしなく久し振りな幕間 了
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